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西日本新聞掲載「亡き父の遺志継ぎ…熊本城の「しゃちほこ」天守閣に設置 鬼瓦職人、図面頼りに復元 地震から2年」


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=2018/04/07付 西日本新聞朝刊=

熊本地震から間もなく2年となるのを前に、地震で被災し、最上階の瓦ぶきを終えた熊本城天守閣大天守の屋根瓦に、新たなしゃちほこを取り付ける作業が6日、始まった。

 大天守のしゃちほこは地震で落下し、ばらばらに壊れた。半年間かけて作り直した2体は高さ約120センチ、重さ約100キロ。この日は1体をクレーンでつり上げ、胴体の穴と、胴体を固定する芯木の太さが合うよう削って調整する作業を進めた。設置工事は28日に完了する予定。

■父の「作品」遺志継ぎ 鬼瓦職人藤本さん 図面頼りに復元

 6日に設置が始まった熊本城天守閣大天守のしゃちほこは、熊本県宇城市の鬼瓦職人藤本康祐さん(57)が制作した。熊本地震で壊れた「先代」のしゃちほこは、8年前に他界した父の勝巳さん=享年80=が手掛けた。父が精魂を込めた作品を「自分の手で作り直したい」と復元を買って出た藤本さん。新たなしゃちほこに「熊本の守り神のような存在になって」と願いを込めた。

 先代のしゃちほこは、1960年の天守閣再建時に取り付けた初代に亀裂が見つかったため、2008年に作り替えた。勝巳さんは熊本市の博物館に保管されていた江戸時代の現物を見本に、当時の姿をよみがえらせた。勝巳さんは10年夏に末期がんが見つかり、同年冬に他界。しゃちほこは最後の仕事になった。

 16年4月。激震で落下し、修復困難なほどに砕けたしゃちほこを見て、藤本さんは制作中の父の姿を思い出した。耐久性の高い粘土を探し求めて知人を訪ね回ったり、汗を拭いながらしゃちほこの周囲を何度も回って出来栄えを確認したり…。何百年もの風雪に耐えるしゃちほこを作ろうとした父に、再現を誓った。

 藤本さんは、母が勝巳さんの仏壇に大事に保管していた図面を頼りに制作。余震で重さ100キロのしゃちほこが倒れないよう台車に載せて作業を続けた。長男の修悟さん(29)も、かつての藤本さんのように父の背中を見ながら手伝った。

 「父がいたら『もっと早く、軽く作れたんじゃないか』と言うかも」と藤本さん。新たな城のシンボルが天高く上る様子をじっと見詰めた。